▼天声人誤

●ロボット

1999年吉日にロボットが完成した。特にどういう目的とか、いつまでにという期限を定めたわけでもなく、ただ暇つぶしに週末を利用してコツコツと作っていたのだが、思いのほか早く完成してしまった。

脳味噌にはPentium225MHzを使い、友人のプログラマーに協力してもらい一般的な家庭内での作業をシュミレーションして、考えられる動作をすべてインプットした。例えば「歩け」というコマンドに対して、どの部分のモーターを動かしてどのように関節の角度を変え、どうやって動くかというプログラムである。

4GBのハードディスクを搭載したのだが、思いつく限りの動作をインプットしたにもかかわらず、まだ1GBちょっとしか使っていない。最初から1.2GBにしておくべきだったと悔やまれる。このPentiumのPCボードを一斗缶を半分に切って作った約30cm立方の頭に入れ、41万画素のCCDカメラを目の部分に2個取り付けた。最初は10倍ズームを1個の予定であったが顔が単眼症になってコワイので、左目を一眼レフで35mm相当の広角、右目を85〜135mmのズームの2個にした。この右目は接写を兼用していて、さらにカメラ自体が上下左右に45°ずつ動くようにした。このため右目の周りだけにカメラが動くための隙間が必要となり、ちょっと驚いているような顔になってしまった。

コマンドを音声認識するための耳も必要で、これにはカラオケ用のマイクを頭の左右側面に埋め込み、ネギ坊主(マイクの丸い金網の部分)の半分を外に出すようにした。電話やインターホンにも応対できるようにするため、多少の言葉もサンプリングして喋れるようにした。当然口が必要になる。スピーカーはBOSEといきたいところであったが、相当するクオリティーのアンプをつんでいるわけでもなく、所詮定形言語しか喋らないので、粗大ゴミで捨ててあった楕円形のテレビのスピーカーを使うことにした。コーン紙のエッジが少し破れていたが特に支障はないようなのでそのまま取り付けた。

鼻は別段必要ないのだが、何にも無いのも寂しいのでガス漏れ感知器をそのままくっつけた。このガス漏れ感知器はPentium225MHzとはどこも繋がっておらず、スタンドアローンで機能する。つまりロボットの意思や動作とは関係なく、ガス漏れを感知したときにビービー鳴りだすというものだ。

胴体は1ドアの小型冷蔵庫をリサイクルして使った。密閉性も良く匡体が比較的丈夫で、ワンタッチでドアが開けられ、燃料の補給やメンテナンスが容易であるのがその理由だ。

燃料はガソリンで、ラジコン用のエンジンを回し、解体屋でもらってきたダイナモで自動車用のバッテリーに充電し、このバッテリーから全身の関節部分のモーターに電気を供給するという仕組みである。さらにのダイナモはセルモーターに連動し、このセルモーターにはタイマーと温度計がついていて外気温に応じて一定時間自動的に充電するというものだ。

この部分もロボットの意思とは関係無く勝手に作動する。後でわかったことであるが、市販の発電機を買ってきてそのまま入れればずいぶんと手間が省けたはずでもあった。

手の部分は気合いを入れて作った。ちゃんと5本の指があり、それぞれの指にも間接があり人間の手とほとんど同じ動作が可能なものだ。さらに指の先端にはゴム製の円形のプレートがついていて細かい穴がいくつも開いている。この穴から空気を吸い取り吸盤として使えるのである。ちょっと凝りすぎたせいか人間の手よりは二回りほど大きくなってしまったがロボットなので仕方の無いところである。

これは手に限らず全体に言えることだが、やはり人間と同等な滑らかな動きというのは不可能であった。例えば床に落ちた物を拾うとき等は、初動はかなり無造作で動きも速く、このままでは手で床を突き破ってしまうのではないかと思わせるほど大胆である。

しかし拾おうとしている物の5cmぐらい手前でぴたっと止まり、あとは分解写真、といっても若い人はわからないかもしれないが、ようするにコマ数をはしょったQuickTimeMovieのような動きで物に近づき、接触したのを感知してから物を落とさない程度の強さと物を壊さない程度の弱さを加減しつつ慎重に拾い上げるのである。

すべてにおいてこんな動きであるので非常にロボットらしいのである。カブトムシとかカナブンが平らなところを歩いていて頭が壁にぶち当たるとぴたっと動きが止まり、数秒後に右か左、または壁を登るという動作に移行するが、あの数秒間はやはりCPUが処理をしているインターバルであり、もしかするとロボットなのかもしれない。

次に足であるが、最初は人間のように一歩一歩膝を上げて歩く構造を考えたが、この方法だと非常に燃費が悪く夏場などは常にダイナモが回りっぱなしになってしまう。しかたがないので階段の上がり降りや段差をまたぐとき以外は床を擦りながら歩けるように足の裏にローラーをつけたのであるが、今度は片方の膝を上げたときの安定が悪く、転倒防止のためにローラーのオートロック機構を追加したりしたため足の幅がスキー靴の2倍ほどになってしまったがロボットなので仕方の無いところである。

以外と苦労したのが主電源のスイッチである。胸の中央につける方向で設計を進めていたが、電源スイッチの場合、重要なのは緊急時に確実にOFFできることであり、仮にロボットが俯せに倒れてしまったときには簡単にOFFすることはできない。

倒れるときは必ず仰向けになるような方法も考えたが、倒れはじめて一瞬空中に浮いた状態で体を反転させる必要があり、このためにはかなり高出力なジェットエンジンを4基取り付けなければ対応できず、このジェットエンジン自体の大きさ、重さ、コストがロボット本体をはるかに上回ってしまい、いっそのことロボット本体を削除してしまおうとも思ったりもしたが電源スイッチの位置を変更したほうが楽そうなのでジェットエンジン案は諦めた。

しかし色々な状況を想定するとなかなかいい位置が見つからず、最後の手段で、こたつの「入/切」スイッチを股の間からぶらさげることにした。

最終的に重量120kg、身長175cm、座高134cm、クロック周波数225MHz、定価オープンプライスというスペックのロボットが完成したのである。

早速動かしてみることにした。股の間の「入/切」スイッチを「入」にして、「部屋から出ろ!」と命令してみた。思いのほかスムーズに反応しドアの方に向かって歩き出した。ドアの前で立ち止まると、いきなり相手のミゾオチにパンチを入れるようなアクションで肘を動かし、ドアノブの5cm手前でピタリと拳を止め、手を開いて例の分解写真の動きでノブを回してドアを開けた。

しかしここからなかなか前へ進まない。手足はまさに歩くがごとく動かしているのだが身体の位置はそのままなのだ。どうやら頭がつかえているらしい。ここの出口は高さが176cmのはずである。ちゃんと計ったのだ。

・・・・出れないはずである。足の裏に後からローラーをつけたのを忘れていた。そのぶん2cmは高くなっている。だから上記のスペックでの身長175cmは誤りで正しくは177cmだ。ロボットはまだ出られないでいる。このまま一生部屋からでられないのか?

そんなことはない。「頭を下げろ!」とロボットに言った。ロボットは亀ではないので首を平行移動で縮めて頭を下げることはできない。首の関節を支点にして回転運動で、顔面が床を見る方向に頭を下げるしかない。

しかし不幸にしてロボットの頭は立方体である。つまり横から見ると正方形である。正方形は、その支点の位置で条件は若干異なるが、押並べて回転するとその途中で高さが高くなるのだ。ロボットでいえば後頭部のカドが前に移動するのと同時に上にも行くのだ。しかも頭の一点が接触してるため身体は後ろの方に強制される。しかしロボットは前に進もうとして手足を動かしている。

各関節のモーターに相当なストレスが溜まり始めているはずである。早速セルモーターが始動してダイナモが回りはじめた。ラジコン用のエンジンが回るということは内燃機関が稼働しているので排気ガスも出る。排気ガスが出ればガス漏れ感知器が黙ってはいない。

だんだん凄まじい光景になってきたのでロボットに命令した「膝もまげろ!」これを聞いてロボットはいきなり膝を曲げたので一瞬にして外にでられた。あまりの一瞬さに消えたのかと思った。

廊下に出たロボットは頭を下げ、膝を曲げたままジーコジーコと苦しそうに歩いていた。膝を曲げたまま歩くためにはかなり高度な平行感覚維持の制御が必要で常時膨大な量の演算処理を続ける必要があり消費電力もアップするためダイナモは回り続けることになりガス漏れ感知器もビービー鳴りっぱなしとなる。

このままだと色々ともったいないので「頭を上げて膝をのばせ!」と言ってやった。

ロボットは頭を上げ始め顔面が丁度正面を向いた位置で止まることなくさらに上を向いて天井を 見つめ、後方の景色が逆さに見えるであろう位置まで首が曲がってしまった。膝のほうは硬直したようにガチッと伸ばしたまま歩き続けている。

平面上をローラーを使って歩く場合でもその動きに連動して膝の関節も多少は動くように設計してあるので膝の関節を完全にロックしてしまうとバランスをとるために上体が前のめりになってしまうのだ。足は硬直して上体は前のめりで顔は天井を通りこして後ろをむいている。この歩き方の苦しそうさ具合は、頭を下げて膝を曲げたままで歩くのに匹敵していた。

「止まってもとの姿勢にもどれ!」こう命令するとロボットは止まってもとの姿勢にもどり、数秒後にダイナモも止まってガス漏れ感知器も鳴り止み静かになった。

せっかくだからもっと難しいことをやれせてみようと思い「茶を入れろ」と言ってみた。ロボットは台所に行ってガスレンジの前で止まった。そこにはヤカンがあった。ロボットはヤカンをじっと見つめ、しばしたたずんだと思いきや唐突に左手で口の部分をむんずと掴んでヤカンを持ち上げた。ロボットはヤカンの中にお湯が入っているかどうか確かめなければならないのである。

左手でしっかりと口の部分を握りヤカンを水平に支えているが、その重さでお湯の有無を判断できるほど利口ではないらしい。というか、そこまで細かいことはプログラムされていない。ロボットは右手の親指と人さし指でヤカンの蓋を摘んで持ち上げた。目で確認するつもりらしい。

しかし残念ながら蓋を摘むときにヤカンの取っ手を2本の指がまたいでしまった。蓋を持ち上げようにも取っ手に当たってしまい3cmぐらいしか上がらない。

ロボットはその3cmのすき間からヤカンの中を右目のズームレンズを調整しながら覗き込んだ。ズームと同時にオートフォーカスのモーターも回転していることがその音でわかった。それにしてもなかなかピントが合わないらしく、いつまでもフォーカスを回しては止め、反対に回しては止めと繰り返している。

実はヤカンには、まだかなり熱いお湯が入っていてロボットの目は湯気で曇っていくらフォーカスリングを回してもどんどんソフトフォーカスになっていくのだった。

熱いお湯が入っているということはヤカン自体もけっこう熱くなっていてロボットの左手の指の先のゴムが熱で溶けはじめて悪臭を放ちはじめたと思うとガス漏れ感知器が鳴りはじめた。

ロボットのPentium225MHzはピントが合わない場合の対処方法をハードディスクから検索すると同時に視力が突然落ちた原因についても検索していたが、どちらもプログラムにはないので見つかるはずはないのだ。ここでも電力消費量が急に上がったためにセルモーターが始動してダイナモが回りはじめ、ガス漏れ感知器もよりいっそう高らかに鳴りはじめた。

「ヤカンを置いて元の姿勢にもどれ!茶は入れないでいい!」と命令するとロボットは今の状態に至ったのと丁度逆の手順でヤカンをレンジの上に戻した。数秒後にダイナモが止まり、ガス漏れ感知器も鳴り止む...はずがいつまでも鳴り続けている。

「ぼんっ!」という音がして部屋中が赤紫色になった。ロボットはロボットの体の冷蔵庫の取っ手でガスレンジの点火レバーを押したままでレンジの前に立っていたのだ。ロボットはガス爆発で顔の真ん中が凹んでしまい寄り目になった。そして片方の耳、つまりカラオケ用マイクが頭の中に落ちてしまった。しかし他はどこも壊れなかった。さすがロボットである。むしろ全身がススけたせいで重厚感が増したように見えた。 火を使わせるのはやはり危険なのでもう少し簡単なことをやらせてみることにした。「ビールを注いでくれ」と言ってみた。

ロボットは自分のからだの冷蔵庫を開けて上から中を覗きこんだ。「台所の冷蔵庫の中だ!」と教えてやった。ロボットは自分のからだの冷蔵庫を閉めて台所の冷蔵庫に向かい、その前に立ち止まった。

4ドアである。各々のドアは開くものと引き出すものがあり、しかもドアの側面に手を引っかけて開けるタイプのため取っ手らしきものは無い。しかしさすが自分の一部が冷蔵庫ということもあり上から2番目のビールのあるドアを器用に右手で開け、開けたドアを閉まらないように右手で押さえたままの体勢でビールを捜しはじめた。

そしてドアの内側から茶色のビンの首を左手で掴んで持ち上げた。カルピスだった。ロボットは水玉模様のラベルを見つめたまましばらくじっとしていた。ハードディスクがチリチリと小さな音で忙しく回転している。どうやらビールではないと悟ったらしくカルピスを元の場所に戻した。

次にロボットの左目の広角レンズがビール瓶らしきものを捕えた。それはなぜか冷蔵庫の外にあった。しかも先ほど爆発したレンジと冷蔵庫のすき間の奥のほうにあった。ロボットは左手を伸ばしその埃をかぶった茶色のビンを引っぱり出した。1965年もののウジ殺しだった。

だいぶ遠回りはしたものの何とか本物のビールを見つけてキッチンのテーブルの上に持ってきた。なぜか右手の中指の指先にはハウスねりわさびのチューブがくっついていた。なんかの拍子に吸盤で吸い付けてしまったらしい。

ロボットはビール瓶をテーブルに置き食器棚からグラスと栓抜きを取り出しグラスをビール瓶の横に置き、栓抜きを握りビールの栓を抜こうとした。

「ぽんっぽんっ!」という音がした。1回目の「ぽんっ」は栓の抜ける音、2回目はハウスねりわさびのフタが飛んだ音であった。栓抜きといっしょにハウスねりわさびのチューブを握りしめたのだ。

円弧を描いて宙を舞うフタの後を追うようにハウスねりわさびの中味も5cmほど連なってフタよりも径の小さい円弧を描いて飛んだ。さらに飛び損ねた中味が3cmほどハウスねりわさびのチューブの口のところに取り残されだらりと垂れ下がった。そして切れた。切れた中味はビールの中に落ちた。栓が抜けてから約0.5秒の間にこれら一連の出来事が起こった。

ロボットはそのビールをグラスに注いだ。じゅわじゅわと薄緑色の泡がグラスの上で盛り上がりテーブルにこぼれだし3方向に帯を作り流れはじめ、うち1本はテーブルの縁に達してしずくとなって床に落ち始めた。このままでは妖怪人間が誕生してしまうので「早く拭け!」とロボットに命令した。

ロボットは仁王立ちになり、ちょっと上体を後ろに反らして止まった。かと思うと突然まえかがみになり顔面をビールの真近にもってきた。

「ぼー!」という大きな音が顔じゅうから聞こえた。マイクの落ちた耳の穴や右目の周りのすき間からすごい勢いで空気が吹き出ていた。「速く吹け!」と勘違いしたのだ。

ロボットの頭部にはPCボードと電源回路の冷却用のかなり強力なファンが3台取り付けられている。これを逆回転させているらしい。しかしロボットの口にはスピーカーがついているので空気は出てこない、などと思っているうちに「ぶんっ!」という音とともにスピーカーのコーン紙が吹っ飛び、鉄板のフレームとマグネットの間から烈風が噴き出し、グラスと栓抜きは一瞬でテーブルの上から消えた。

ビール瓶は転倒して気が狂ったようにテーブルの上を転がりテーブルを離陸した後もテーブルと同じ高度を保ちつつ頭から螺旋状の泡を吹きその軌跡を壁面に残した。

こうしてみると人間と同じように行動できるロボットを作るのは並大抵なことではないことがよくわかる。鉄腕アトムやドラぇもんなどはたいしたものである。それに比べると鉄人28号などは現実的であるようだ。体は鉄板の張り合わせで、しかもリベット止めである。これがシームレスになったのがマジンガーZからで、材質も超合金になった。しかし超合金といっても具体的にどんな金属なのかはわからないがマジンガーZのオモチャを見るかぎり亜鉛ダイキャストであるようだ。このことはガンダムやマクロスでも基本的には変わっていないようである。

いずれにしても人間の意図するままに行動するロボットというのはそう簡単に作れるものではなく、まして色々な武器を装備して空を飛び正義のために戦うのはまだまだ先の話である。

ロボットのほうであるが、とにかく何の役にもたたず被害だけが拡大するということがわかったので捨ててしまうことにした。ちょうど次の日が粗大ゴミの日だったので粗大ゴミ置き場に置いてきた。

そして次の日の午後、ちゃんと持って行ってくれたかどうか粗大ゴミ置き場の方を窓から除いてみたが、手前に選挙演説のクルマが止まっていて見えなかった。確認しに行くほどのことでもないので放っておいた。

粗大ゴミ置き場に置かれたロボットは、実は主電源が「ON」になったままであり、選挙演説を聞 いたロボットはその候補者に一票いれるために投票所に出かけて行ったのであった。

ロボットには公道を歩くためのプログラムは何もされておらずクルマや信号についての情報は全く持っていなかった。案の定最初の交差点を赤信号で渡ったところをクルマに思いっきりハネられた。ハネたほうの運転手も人をハネたと思い、そうとうに焦ってクルマからおりて、倒れたロボットに駆け寄り、それがロボットであったため余計に混乱した。

「し、しっかりしてください!」と声をかけたのであるが、この言葉が適切であるかどうかおおいに疑問を持つところでもあった。

運転手の声を聞いたロボットはゆっくりと立ち上がり、ちょっと股を開いて腕組みをして胸を張った。これがロボットにとっての「しっかり」した意思表示のポーズである。ポーズはしっかりしていたもののハネられた衝撃で頭の一斗缶の蓋と冷蔵庫のドア、足の裏のローラーがとれてしまった。さらに首が15°ほど左に傾いてしまった。

踏切にさしかかった。今度は電車に轢かれた。両足の膝から下がとれた。しかし幸いなことに丁度手の平が地面に届く高さになり膝から上の2本の足と2本の手を使い以前よりも楽に歩けるようになった。歩くスピードも速くなり30kmは楽にでるようになった。

自衛隊の演習場にさしかかった。戦車に轢かれて両手の肘から先と両足がとれた。両足を駆動させていた歯車がむき出しになった。肘を動かしていたプーリーもむき出しになった。そしてこれらの歯車とプーリーは直接地面に接していたため4輪で走れるようになり70kmは楽にでるようになった。

この演習場では実弾射撃演習も行われていた。ロボットが70kmで走っているところに実弾が命中した。首が吹き飛んだ。体の部分も宙に舞ったが落ちてきて地面に着地するとすぐに70kmで走り出した。

コントロールを失ったロボットの体は演習場内をさまよい走り、最後は弾薬庫に突っ込み多数の弾薬とともに爆発した。

2018年現在、すでに高度な人間型、動物型のロボットが登場し、実際の社会の中でも使われつつある。しかしその多くは限定された環境での限定的な使われ方しかしていないようでもある。

自らの意思を持ち、自ら成長し代謝を行い、繁殖を行うという、「生命」に近くのはまだまだ先の話しであるようだ。
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