▼天声人誤

●千枚通し

千枚通しを分厚い本の上に立て、思いきり力を入れて突き刺してみる。どのくらい貫通したか確かめてみると 32枚であった。千枚通しとは嘘八百の、正式には32枚通しである。千枚通すにはこの千枚通しなるものをボール盤の先に括り付け、丹念に加工を施せば可能であるかもしれない。しかしそうであるならば、ただの釘でも千枚通しと呼ばれる権利がある。

万年筆というのはいつ発明されたのだろうか?仮に人類文明発祥紀元前1万5000年が正しかったとしても、文明ができてすぐに万年筆はできないので、1万年以上使用されたという万年筆はまだ実在していないものと思われる。だから万年筆が実際に万年間の使用に耐えうるものかどうかは実証されていない(ちなみに万年筆の原型はエジプトで953年に発明され、1809年にイギリスで特許が取得されたとのこと)。

万年平社員という人がいる。日本人の平均寿命の100倍以上生きる人である。きっとこういう人の為に万年筆と1万年使える布団(万年床)があるのだろう。

万が一という言葉がある。保険会社がよく使うが、日常の会話、特に会社の会議などでもよく使われる。しかしたいていの場合、その実際の確率というのは百が一、十が一ぐらいのことが多い。

ひどい時には 9割がたダメだとわかっているのに、「万が一ダメだったら..」などと言うヤツもいる。これに比べ、自動車保険の万が一は当たらずとも遠からずだ。日本では1年間に約5000人が交通事故で死亡する。おおよそ 2万人に1人の確率である。

万力というすごい装置がある。恐らく百人力の人が百人集まったぐらいのすごい力のある装置なのだが、万の単位については、未だ明らかにされていないようである。

百貨店という店がある。ずいぶんと品数の少なさそうな店だ。百貫デブという人がいる。体重375kgに相当し、かなり大袈裟な表現のつもりで作られた言葉であったと思われるが、実際に体重が300kgを超えている人というのも、食生活が豊かになった現在では、世界では実在するようになってきた。

酒は百薬の長であり、100回飲むことで万病が治るとされている。

千客万来は千人の客が合わせて一万回来るということで、非常にリピーター率の高いビジネスケースということになる。

千差万別は人や物や事柄には様々な種類や違いがあり、千の差と万の別があるということらしいのだが、なぜ差と別に10倍もの数値の違いがあるのかは不明である。

森羅万象、用意万端の万は、ものごと全てという意味である。迷惑千万の千万は、ものごと全てのさらに千倍という程度の激しさを表している。迷惑1つでもとっても迷惑なのに、千万の迷惑とは、ミラクルボンバーな迷惑なのであろう。

一円を笑う者は、十円で十回笑える。

公園の池で、コイに向かって十円玉を投げているお婆さんがいた。売店に「コイのえさ10円」と書いてあった。

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