2004年3月

●老眼   2004.3.31

よくクライアントから言われること。「老眼の人でも見やすいように文字をもっと大きくしてくれ」。この言葉にどう対応するのか苦慮することも多い。ほとんどの場合、文字をデカくするとかっこわるくなるのだ。しかしクライアントからしてみれば、確かに老眼の人にも見てもらいたい、ということもあるはず。

この問題をどう解決するのか?無難な説明としては「Yahoo! Japanと同じ文字サイズです」。これが有効。有名な物に弱い日本人としては納得しやすい。そして「結局老眼の方はご自分のパソコンでモニター解像度を調整して文字を大きくしていますから。じゃあないとYahoo! JapanもGoogleも読めないんですよ」と、続ける。そして実際に口には出せないが、「老眼になりそうな人あたりから、インターネット利用率ががっく〜〜んと下がる」という現実がある。老眼対策をしてもアクセス数や売上げに影響が出るケースはほとんどないのである。文字が小さい!と文句を言う人の多くはインターネットを日常的に利用してないのだ。

●シンプルに   2004.3.30

クライアントにデザインコンセプトを説明するとき。できるだけシンプルに分かりやすく!というのは鉄則。だらだらと長い時間をかけて説明したところで、その内容を全部覚えていてくれるなんてことは無いのだ。デザインする過程で苦労したことや試行錯誤した点なんていうのはクライアントにとってはどうでもいいのだ。大切なのは「結果」と「考え方」である。

有能な上司は部下を叱るときがシンプルで分かりやすい。それが強烈な雷だったりもするが、怒られたほうに対して、何が悪かったのか、何を改善すればいいのかを理解させることを目的とする。

一方無能な上司は自分のわだかまりやうっぷんを晴らすことも目的とするだらだらだらと長〜い説教になる。説教しているうちに最初のほうに言ったことと後から言ったことが矛盾してきて、説教しながら自分でその矛盾に気付いて調整しながらも説教を続けたりもする。聞いてるほうも何を言いたいのかがさっぱりわからず、ようするに「この人、たまってたんだなあ」という「感想」で終わる。

●電話のほうがラク   2004.3.29

当たり前のはなしである。いちいちパソコンのキーボードを打つよりも、電話で喋ってしまったほうがラク。そこで消費する労力も少なくて済むはずである。しかし電話の代わりにメールを使うことで、その労力を差し引いたにしても色々なメリットがあるはず。

このことを理解せずに単に「電話のほうが早い!」などと言って、メールを使わず終いの人もけっこういるようだ。そしてそういった人たちは既にデジタルデバイドとして、つまり情報弱者と分類され、生産性の低い人と見なされていることになる。

今どき求職者でメールが使えなかったら一般事務職における就職口を捜すのは難しいだろう。ということは既に在職している人間であってもメールが使えないというのは、極端に言えば、職務を与えるに値しないという意味にもなる。そしてこの情報弱者の人達は、自分達が情報弱者とみなされていることも知らなかったりもする。

●デザインの基礎   2004.3.28

ウェブデザイナーが作ったデザイン。やっぱりプロが作ると違う!と言われることも多いのだが、色使いとか写真やイラストがキレイとかナビゲーションが分かりやすいとか色々な要因はある。しかし最も基本的なことは平面構成力である。構成力というと難儀に感じるかもしれないが、もっと基本的な部分では、例えば掲載する画像のサイズを統一する。横幅を揃える。色調を合わせる。といったいたって簡単なことでもある。また四角い形の物の写真は画面に対して外形線を平行にする。見苦しい物が写っていれば消す。傾いて写っているものを、ちゃんと地面、または机上面の安定して乗っているような角度に修正する。などなど地道な調整作業の積み重ねでもある。こういったデザインの基礎を守るだけでもだいぶ違ったものになる。無理に美しい画像やユニークな構成を考える前にこういった基礎をきちんと守るできであろう。さらに、ウェブならではの基礎。リンクしていないテキストにみやみに色をつけないこと。これを守るだけでも、だいぶ分かりやすいものになるのはず。

●調べるのはタダではない   2004.3.27

たまに来る依頼「ちょっと調べていただけないでしょうか?」「現在○○○は一般的にどのような状況なのか教えていただけないでしょうか?」というようなもの。別途正式な仕事の依頼もあるとなると断るわけにもいかない。しかしこういった内容については調べるといっても簡単ではない。検索するにしてもキーワード一発ですぐに答が見つかるようなものでもないし、専門的な知識を持っている人に又聞きするにしても、すぐにレスがあるわけではない。つまりこれも労働なのだ。結局半日かかったりもする。となると調査費としてそれなりの金額を請求しなければならない、という気分にもなる。とはいえそのくらいの付加サービスをしなければウェブ制作もなかなかやってはいけないという現実もある。

苦労して調べた結果も報告する。と、ここで良識ある人間であれば、その見返りとして、その業界のウラ情報や動向を教えてくれたりもする。ということもあり、やはりついついタダで調べてしまうというもの。

●キャッシュ   2004.3.26

このキャッシュというもの。説明してもなかなか分かってもらえない場合が多い。そもそもサーバからインターネットを通じて送られて来るデータと、HD内にあるデータの根本的な違いが分かってない人に対しては説明するだけ無駄でもあるのだが。

しかしこれを説明しておかないと、必ず「更新されていない!」というクレームが来てしまうのである。とりあえずは理屈は分からないまでもIEの「更新」ボタンをクリックする。ということを伝えるのだが、例えばロールオーバーのOnMouse時の画像データ等は「更新」だけでは更新されない。そのときは「履歴の消去」や「キャッシュを空にする」、そしてIEもパソコンも再起動すると、一通りの操作を説明しなければならない。恐らく説明を受けた方は「パソコンとはなんて面倒なものなのだろう…」と思っているであろうと想像しつつ、である。

ちなみに三省堂のサイトによればcacheとは(食料などの)隠し場(に貯える,隠す),貯蔵物〔食料〕だそうだ。隠してあるんだから分かりづらいはずだ。ついでに現金のほうはcash。意味は全然違うがcashをcacheしているのがタンス預金なのだろう。

●不公平   2004.3.25

Macユーザーであれば経験はあるはず。Winユーザーから送られてくる添付ファイル。こいつがそう簡単に開けないことがある。また開いたはいいが文字化けしている。文字化けはしていないものの改行位置がばらばらになっている。改行はされているもののフォントの違いによって行の長さが変わってしまい、結局レイアウトをし直すハメになること。

さらに悲しいのはMacで作ったファイルをWinユーザーに送った場合、解凍できない。開けない。文字化けしている。というクレームが来ること。こちらは毎回色々と工夫してあんたらが送ってきたファイルを何とか使えるように努力しているというのに、保存してダブルクリックしただけで「開けない」と言ってくるのである。少しは考えてほしいものである。

とはいえWinユーザーの多くはMacのコトは全く知らない。パソコンは全てウインドウズでパソコンを使っている人全てがWordとExcelを使っていると思っているらしいのだ。

ま、世の中の少数派と呼ばれる人達は、多かれ少なかれこのような不公平な思いをしているのであろう。

●センス   2004.3.24

センスの良いデザインとセンスの悪いデザイン。ウェブにおいては現在過渡期ということもあり玉石混合の感がある。そしてそこに色々なセンスのサンプルを見ることができる。

しかしセンスの良いウェブページをデザインした人がセンスの良い服装をしているか?またセンスのかけらもないデザインをした人がめちゃめちゃな服装をしているか?というと決してそんなことはない。要するにセンスというのは誰でもある程度は持っているもので、それを表現するワザを持っているかどうか?というところが問題のようである。

外食するときのメニューの選び方。旅行の時のルートの選び方。議事進行のやり方。などなど特にデザインや音楽に限らず、色々なシチュエーションで人それぞれがセンスを発揮できたりできなかったりしている。

ということは重要なのは経験と試行錯誤の回数。そのことについて真剣に悩み考えたかどうか、ということにもなる。その積み重ねがセンスを引き出すワザとなっていく。

とはいえ、必ずしもこれにあてはまらないデザイナーというのもいないわけではない。

●Mac用ブラウザ   2004.3.23

Internet Explorerは今後Macintosh用の開発は行わない。ということで改善は期待できないのだが、OS Xにおいてはどうも頻繁に画面がフリーズする。その画面を閉じて新たなウインドウを表示すれば復活はするのだが、ウェブの制作途中で1日に何百回も再読み込みさせる状況ではこれがけっこうな時間的ロスになる。

ではSafariはというと、全角の一部の文字を認識しないのと、全角の<b>を認識しない。また、複雑なフレーム構成になったときに、画面を表示できずに真っ白になることがある。これはステータスバーを常時表示させることで回避はできるのであるが、デフォルトでステータスバーはOFFなので、極めて稀なケースでもあるのだが、ちょっと困った問題。それとGIFムービーを再読み込みすると、最後の1コマを先に表示してしまうというようなコトもあるようだ。

結局はNetscapeが安定しているようなのだが、なんせシェアは2%程度。標準として制作したページをチェックするにはあまり意味が無い。それとデフォルトでのスキンの色調。薄緑色はモノトーン基調のOS Xのインターフェイスの中ではちょっとミスマッチ。

今後はSafariに頼るしかないのだが、もうちょっとシェアを伸ばしてバグを改善してほしいもの。Macintosh用としてこれといって安心できるブラウザが存在しない状況はここ数年続いている。。

●主語が無い   2004.3.22

突如として全く要点を得ないワケの分からない要望メールが来ることがある。また同様にいくら話を聞いても何を言っているか分からないという人もいる。面倒だから棒読みしたり聞き流したりしているわけではない。よーく読んでみて、何度も繰り返し質問しつつ聞いてみてもワケが分からないというもの。

そこでなぜワケが分からないのか考えてみると、まずはこちらが知らない固有名詞を連発している。ただ、これはそれがどういうものなのか確認すればおおよそのストリーは理解できるはず。それでもまだ分からない。そこでさらに考えてみると文章や言葉に主語が無いのである。誰が、何が、そのことに至ったのかが説明されていない。もちろん自分では分かってのことらしいのだが。

と、こういったものに付き合っていると相当に無駄な時間を過ごすことにもなるのだが、意外にもそういった人に限って立派な実績を上げていたりもするものだ。

●ミニホームページ   2004.3.21

商店街や商工会、または市町村の事業の一環として、そのエリア内の商店や事業所のミニホームページを例えば1軒1万円で作ってホームページの普及を図ろう!という企画が何年も前からあちこちで行われている。一部成功しているところもあるが、現在同じような企画を新たに行おうとしているところもあるようだ。

しかしはっきり言って、今さらそんな企画をしたところで成功はしない。タダならともかく1万円、5000円を払ってそんなホームページは作る必要は無いのだ。インターネットに接続する以上はほとんどはプロバイダーと契約する。そして大手プロバイダーのほとんどが無料、もしくは月数百円でかんたんホームページ制作サービスを行っている。こちらのほうがよっぽど簡単で安い。しかもテンプレートも豊富。

NiftyBIGLOBEODNSo-netOCNといった具合だ。

●スクリーンサイズ   2004.3.20

このテーマも何度か書いてきたが、とりあえずは1024×768pixの利用率が8割近くになり、IEとWindowsのシェアが95%程度と、大多数の人が利用している環境を考えると、ほぼ900×600pix程度に収まるようにデザインすれば大丈夫ということのようだ。

とはいえ学校や公共施設、又はノートでは800×600の利用者もまだまだいる。あくまで推奨は1024×768であっても800×600では全く見られないのでは困る。同時にデザインを多少犠牲にしてでも、メニュー画面等は800×600でもスクロールが発生しないように、できるだけ上のほうにまとめてレイアウトする等の考慮もまだ必要なようでもある。

と、このようなコトをいくら説明しても、実際にデザインするのは自分のマシン。ついつい自分の環境だけでベストのデザインをしがちになる。そして自分のマシン以外での環境は全く考慮しないでデザインされたサイトというのもまだまだ多いのも事実である。

●困った更新   2004.3.19

ウェブサイトも多様化してくると、本当に名刺代わりの「あればいい」というサイトも増えてきた。本来更新しなければ意味がないのがホームページ。しかしそうそう更新する人材も予算もなければネタがないというのも実情。かといって今どきホームページもないようでは企業として恥ずかしいというのも事実である。

しかし公開したまま何年もその内容が更新されないようでは場合によってはかえってマイナス。そんなんだったら無いほうがいい!なんて意見もあることだろう。

ではこういったサイトをどうやって更新するのか?と、悩んでいる事業主も少なくないだろう。しかしよくよく聞いてみると印刷物は色々な形態で発行していたりもする。チラシ、社内報、冊子、DM、関係者への事務連絡等々。そしてこれらの多くはWordやIllustratorで作られている。

ちょっと工夫すれば、まはたそれらのデータを作成している人がちょっと勉強すれば、比較的簡単にウェブへの転用ができるはずなのだが。。

●日曜大工   2004.3.18

ホームページビルダーで作ったホームページというのは日曜大工のようなもの。もちろん日曜大工で作った作品の中にはプロ顔負けの物もある。そして自称プロの中にも日曜大工にしか見えないような作品を作る人もいる。まあ、ホームページの場合は最終的な作品としてのプロとアマチュアとの差は本物の大工仕事ほど大きくはないと言えるだろう。

ただし困るのは、プロに依頼しておきながら、途中、簡単そうな部分を日曜日に自分で作ってしまうという人。または途中まで作ったものの続きをプロに依頼するという人。

結果に大差はないとはいえ、その制作過程ではホームページビルダーとHTML直接打ち込みではそれなりに違いがある。プロの仕事では見る側の環境の違いをそれなりに考慮している。ところが日曜大工の多くは自分のパソコンで見る事しか考えずに作られている。そして大工仕事と違うところは更新という今後の作業を考慮して作らなければいけないこと。「更新への考慮」と「異なった環境への考慮」。この2つがなければプロの仕事は半分になるのだが。

●施錠   2004.3.17

相次ぐ個人情報の漏えいが社会問題ともなり、これに呼応してなのかサーバ管理者のセキュリティーに対する認識がより一層シビアになってきたようだ。その事自体は良いのだが、その方策が「施錠」の一点に集中しているというのはどうにも芸が無いのではないだろうか?

どんなに施錠を厳重にしたところで泥棒がいる限りは盗難はゼロにはならない。厳重な施錠を見せることでかえって泥棒のチャレンジ精神を誘発しているような状況もあり得るのではないか。

情報の漏えいの多くは「人」に起因するとも言われている。内部に泥棒や裏切り者やスパイがいればどんなに厳重な施錠も意味をなさない。まずはその部分での人の管理をきちんとすべきであろう。同時に社内データを故意に外部に漏らした際のぺナルティーを契約時にきちんと謳っておくことも必要。泥棒がいないシステムができれば鍵は不要なはず。

ということはさておき施錠に頼る人々。IT化が進んだとはいえ所詮物理的な「モノ」に頼る概念は、そう簡単に変わるものではなさそうだ。

●営業に徹する   2004.3.16

フリーのデザイナーの場合、自らが営業をする機会も少なくない。しかしデザイナーの多くはプロの営業ではない。多少喋りに自信があったとしても世の中海せん山せん百戦錬磨の営業の専門家はうようよしている。そうそう簡単に仕事が取れるものではない。

ではどうしたらいいのか?デザイナーが営業する場合のノウハウというのも色々とあるのだが、その中で最も重要なこと。それは「現場の都合は考えない」「クライアントの要望を受け入れることに徹する」ということではないだろうか。普通、デザイナーに限らず、いわゆる「現場」と「営業」の間には大なり小なり軋轢がある。それはお互いが「作る」ことと「売る」ことに徹しているためである。そしてそれぞれがその道の専門家として仕事をしているためである。

これが現場と営業を一人で兼任するとなると、ついつい営業する際に現場、つまり自分が手を動かす時の事を考え、少しでも負担の少ない方向に考えがちになる。しかし多くの場合、それはクライアントの要望とは相反するものになる。現場の事は一切忘れて営業に徹しなければそうそう簡単に仕事は取れない。ある意味二重人格にならなければいけないのだ。

●見せ場は一つ   2004.3.15

たまにはピュアなデザインの話。ウェブデザインの鉄則、というかある意味平面デザインの基本。これにはいくつかあるのだが、その一つが「見せ場」の見せ方。例えば手のこんだタイトルロゴを作ったとする。これが非常にインパクトがあり、派手でアイキャッチとしての訴求力も強く、デザイン的な完成度も高いものだったとする。

このロゴ。画面の上のほうにど〜んとレイアウトして、他の要素はシンプルにさらっと流す。このロゴの存在感を妨げないような、存在感を主張しない、それでいて手抜きの感じのしない形状、色使いにすれば良いのである。これが見せ場の見せ方。

ところがよくあるのが、こういったロゴ単体では非常に良いのだが、不要な要素、例えばボタンが必要以上に立体的で存在感が強すぎたり、用もないGIFムービーがごちゃごちゃと動いていたり、いらぬ写真が貼付けてあったりと、とにかく欲張って色んな要素を混在、同居させてしまっているがために、主役、見せ場、がわからなくなってしまっているというページ。

全員が主役になってしまっては物語は始まらないのである。

●企画書は上流で   2004.3.14

デザイナーの仕事はデザインするだけではない。というかデザインという言葉自体には設計という意味も含まれる。ウェブデザイナーにとってはサイトの構成やナビゲーションも含めた設計をすることになるのだが、もっと広義ではデザインコンセプトの構築、さらには広告戦略や企業方針や今後の方向性の提案までもが含まれることにもなる。

そうなると、いきなりサイトのデザインをスタートするわけにもいかなくなる。仕様書、その前の企画書を制作しなければならない。ところがこの企画書、クライアントから諸々の情報を収集するにはタイヘンな手間と時間と、嫌われない程度の執拗な催促と根気が必要にもなる。とはいえいつまでも待っていられないので、限られた情報の範囲で作る企画書。これを提出することでやっとプロジェクトが動きはじめるということになるのだが、情報不足の中で作った場合には時にはマト外れだったりもする。しかしこの企画書を作ったからマトが外れているということも分かったということにもなる。

本来企画書というものは、最も多くの、そして新しい情報を持っている一番上流の人間が作るのが効率的なはずであるのだが。。

●質問に答える   2004.3.13

メールで色々と質問を受ける場合がある。これに答えるときには相手が質問してきた意図をよく考えなければならない。例えば検索を十分使いこなせるスキルを持った人から「Googleで調べれば分かるじゃん?」とも思われるような質問が来ることがある。これはつまり急いでいるのである。こういった場合は、こんなサイトを参考にしてください、とURLを教えたのでは意味はない。その場で即答できる範囲の内容をすぐに返してあげなければならない。

また、あまりパソコンやインターネットに詳しくない人に対して技術的なことを細々とかいても仕方が無い。同様にWindowsユーザーなのにMacintoshであればこんなことができる、なんてことを書き並べても意味が無い。

これだけインターネットが普及しているのだから大抵のことは独力で調べれば何とかなるもの。それでも質問してくるというのは基本的には時間の節約のためである、と思ったほうが良さそうである。

●アクティブウインドウ   2004.3.12

パソコンの画面には複数のウインドウが表示される。だからWindowsなのだ。しかしこの発想のオリジナルはMacOS。ウインドウを閉じたり開いたりしてパソコンの操作を行う、いわゆるハイパーカードの概念は、パソコンを操作する上では画期的な発明でもある。

しかし初心者の中にはこのウインドウという概念をどうしても理解できない人がいる。つまり重なっているという感覚が理解できないのである。ようするにTVのように1つの画面には1つの絵しか出ない。だから1枚のウインドウを閉じた時に、その裏にあったウインドウが見えると驚く、といった具合だ。

そしてもう1つ。どのウインドウが現在アクティブになっているかという感覚。Windowsではブルーになっているもの。Macでは透けてなくてドロップシャドーがついているものということになるのだが、これもなかなか感覚的には受け入れづらいようである。特にMacの場合は凝り過ぎ。初心者でなくても間違えることが多々ある。

●アーカイブ   2004.3.11

アーカイブとは「書庫」の意味。過去のデータを一括して保管しておく場所のことをこう呼ぶ。さてこのアーカイブだが、ウェブ上、つまりサーバ内に保管しておくケースがある。メーリングリストのデータや開示版の書き込み等であるのだが、実はこういったものは一定の容量を超える、又は一定の件数を超える、もしくは一定の期間が過ぎると自動的に削除されるのが一般的である。

ところがこれを永遠に保管できると勘違いしている人も少なくない。日記帳や掲示板の書き込みを無限に貯めておけるものと思っているのである。確かにそういった雰囲気はするのであるのだが、これは普通に考えてみれば解ること。サーバのディスクスペースはせいぜい100M程度。ここに置いておくには限界がある。一方パソコンのHDは100G程度が当たり前になってきている。1000倍広いのだ。だからなにもスペースの限られたサーバスペースを恒久的書庫として使う必要はない。

とは言ってもついついダイレクトに書き込んで控えをとらずにアップする。そしてそのまま時間が経つと消えてしまうというケースも多いようだ。まずはテキストエディタに書いてHDに保存してから、コピペしたものをアップするようにしよう。

●季節に応じて背景を   2004.3.10

季節ごとにトップページの背景画像を変える、なんてことが良く言われていた。これも確かに「有り」なのだが、どちらかというとまだまだホームページが珍しかったころのハナシ。やっても意味はない、とまでは言わないが、今となってはそれほど有効な更新手段とは言えないだろう。

基本はコンテンツ。内容が何の更新もされないのに、背景画像だけで季節感を出したり、色調だけを変更したところでその意味は薄い。いずれにしても目的は訪れた人を退屈させないため。あたかも更新しているように見せるだけでのカムフラージュであればやらない方が良い、というかその労力をコンテンツ本体の更新に注ぐべきである。

とはいえこういった「季節に応じて背景画像を更新しましょう」的な作業はデザイナーにとっては有り難いものである。コンテンツを更新するためのアイディアや原稿はクライアントに催促したところでなかなか出てこないものである。

●Windowsのフォント   2004.3.9

MacOS Xで製作したサイトをWindowsで表示したときに、そのあまりのフォントの汚さに愕然とすることがある。それだけなら良いのだが、MSゴシックできちんと読めるようにするためには、Macのヒラギノフォントに対して1〜2pt文字を大きくしなければいけない。せっかくコンパクトに収まっていた文字が、サイズを大きくすることで、若干マヌケになってしまうのである。

そもそもWindowsは95のリリース時に短時間で日本語バージョンを作ったために、フォント自体のデザインが未完成である。これに対しMacではもともとDTPを強く意識した開発の歴史があり、フォントの表現には一日の長がある。そしてOS Xではデフォルトでアンチエイリアスが使用されているため7ptの日本語でも苦労なく読めるようになっている。

日本語のフォントは漢字も含めて書体毎に1文字ずつビットマップを埋めながらデザインされたもの。気の遠くなるような地道な作業の積み重ね。Windows95の発表前に、あれだけの種類のフォントを一気に開発した、というところに無理があったのではないかと思うのだが、どうなのだろうか。。

●高崎   2004.3.8

群馬県の高崎とは関係ない。「高」「崎」という漢字の話である。と、ここまで書いてピンとくる人はその筋の文字コードに詳しい人ではないだろうか。「高」の上の部分が上下につながっている、いわゆる「はしご高」と「崎」のつくりの上が「立」というような形状になっている文字。この2つは日本人の名字によく使われているにもかかわらず機種依存文字であり、ウェブやメールでは使用できない。つまり具体的にはWindowsでこの字を入力してもMacintoshでは表示できないということ。また同じWindowsでも文字コードの設定によっては「はしご高」は「郷」に化けたりもする。とにかく使ってはいけないのだ。

しかしこのことを知らない人は多いはず。しかもそれが自分の名前に含まれているにもかかわらず知らないで使っていたとすると、例えばメールを受信した人は「郷橋さん」というちょっと変わった名字の人と思われている可能性もあることになる。また、つくりの上が「立」になっている「崎」の場合、ブラウザによっては完全に消えてしまう場合もあるらしい。ということは「山さん」「川さん」「黒さん」というシンプル且つ珍しい名字として相手の記憶に残っている可能性もあるのだ。

●SEO-8   2004.3.7

キリがないのでSEOの話は今日で最終回。色々と書いてきたが一応まとめ。SEO対策としてやっておくこと。しかも最低限の手間で最大の効果がありそうなこと。それはまず<title>。これはありきたりではなく、Googleでいくつかのキーワードで検索してみて、競争率の低いものを選ぶ。そして複数のキーワードをこの<title>内に含める。あとは同じサイト内でページ同士のリンクをテキストで貼る、といったところだろうか。それとメルマガの発行も効果的。

さらに一発で間違いなく効果があるのは、Yahoo! Japanのメガネマークをとること(これをクリアすれば他は何もしなくても大丈夫なくらいだ)。超有名なサイトからリンクされること。そのサイト自体が有名になること。。

ようするにコンテンツが有用で面白く、多くの人に喜ばれる、重宝されるサイトであれば自然と検索結果の上位に来る。これが最も効果的。つまらない、存在価値の低いサイトは、SEO対策を考える前にコンテンツを考えるべきである。

●紙と画面解像度   2004.3.6

IT化の目的の一つがペーパーレス。しかし今のところIT化を推進したからといって紙がなくなるという雰囲気はない。それどころか、結局は紙とデータの併用が必要となり、手間もコストも増えるばかり。メールの利用率が100%にならない限りは、FAXや電話を併用する必要があり、この併用状態はまだまだ何年も続きそうだ。

デジタルデバイドやITリテラシーの問題もあるが、紙とデータの共有ができない理由の一つがパソコンの画面解像度ではないだろうか。通常の印刷物の版下の解像度は300〜400dpi。パソコン画面は72または96dpi。つまりA4の紙1枚の情報は、一般的なパソコンの画面に変換すると3〜4ページになってしまう。紙のほうが圧倒的に情報密度が高いのだ。

仮にパソコンの解像度が400dpiになれば、もっともっと紙⇔データのやりとりがスムーズになり、情報の共有が容易になるはずである。Illustratorの画面を100%の縮尺で印刷時と同様に解読できる解像度ということになるのだが。。まだちょっと難しそうである。

●SEO-7   2004.3.5

Nutchというウェブ検索システムの開発プロジェクトがスタートした。既存の検索エンジンのほとんどは、最も適合する文書の決定方法を非公開にしている。このことはインターネットユーザーにとって決して望ましいことではない。インターネットユーザーにとって検索サイトはもはや必需品であるにもかかわらず、ユーザーの知らないところで密かに制御されているのはおかしいのではないか。人々は検索サイトを利用する以上、その仕組みを知る権利を持っている。

という考えの元で、オンライン文書を見つけるためのオープンソースソフトウェアを開発しているとのこと。検索キーワードとの適合度の計算方法を公開し、各検索結果が出た理由を説明するリンクも提供するということらしい。

さてこのプロジェクト、果たして成功するのかどうか楽しみである。

●読めると見える   2004.3.4

フォントサイズをどのように設定するかはWEBデザイナーにとって毎度悩むところである。CSSで固定するとクライアントサイドで変更が効かず、視力の弱い人や老眼の人には見てもらえないという理屈もある。反面、XHTMLやFLASHが多く使われるようになると、基本的にクライアントサイドでのフォントサイズの変更は不可能というケースも増えてくる。

このような状況になってくると、どうしても仮説を立て、それに沿って無理矢理理屈付けて決めてしまうしかない。その1。文字には読ませるものと見せるものがある。読ませるものは読めるサイズで、見せるものは読めなくても良い。という割り切り。その2。ターゲットユーザーによって決める。つまり若者中心であれば、例えば旅行会社のパンフのように細かい文字でぎっしりと。高齢者も含めた万人向けであれば新聞のように無理なく読める大きさで。といったところだろうか。

●SEO-6   2004.3.3

不正なSEO対策。これは膨大な数のキーワードを埋め込んだり、SEO対策したページからウラページへのダイレクトリンクしたり、デザイン的に表示されない部分にアンカーリンクを多数埋め込んだりというもの。これがGoogleのロボットからは無視される、又は不正サイトとしてGoogleのブラックリストに登録されて、そのURLは検索結果対象はら除外されるなどとも言われている。

何かが流行ると、こうったマイナス情報も出回るというのが世の常でもある。しかしこれは基本的にUGサイトやアダルトサイトを検索結果から除外することが目的なので、一般のまじめなサイトであれば、多少の不正(とみなされる可能性がある方策)は大丈夫ではないのだろうか?そうしないとかなりの確率で、まじめなサイトまでもが除外されてしまうはずである。

参考までに、リンクのテキストを背景色と同じにして表示されないようにするというのは、どうやってロボットが判断するのだろうか?仮にリンクしているフォントカラーの指示<font color=black>とある同じページで<body bgcolor=black>という部分を見つけだすのであれば、背景は真っ黒の画像データにしておけば大丈夫。ということにもある。明後日に続く。

●段取り   2004.3.2

デザインの仕事も1つの作業に長時間集中できれば良いのだが、相手あってのこと。なかなかそうもいかない。平行して何本かの仕事をすることが常である。そこで心しなければいけないのが「段取り」。1本の仕事が中途半端な状態で他の作業を始めると色々と混乱をまねく。完成しないまでも、きちんと区切りの良いところまでは引っ張らなければいけない。

そして重要なのが後片付けと準備。1つの作業の区切りがついたら次の作業の準備ができるように机の上をまっさらな状態にきちんと片付けなければいけない。これがとっちらかったまま開始するとこれまた混乱する。

後片付けというのはつまらない仕事である。それに対して新しい仕事の準備は楽しい作業である場合が多い。どうしても楽しいことを早くやりたい、と思ってしまうものであるのだが、そこをじっと我慢して先に後片付けをできるかどうかで段取りの善し悪しが決まる。「片付けが出来ない人」の多くが、その度に片付けるという退屈な作業から逃げているだけ。

●SEO-5   2004.3.1

SEO対策では、リンクはテキストであることが前提。画像データは引っかからない。従って<alt>タグで補うということになる。しかし画像データはともかくFLASHの中に書き込まれたリンクについては対策のしようがない。Macromediaではこの問題を解決する方法もほぼ実用段階にはなっているようだが、少なくとも今現在では不可能。増して全面FLASHのページ、つまり拡張子が.swfのサイトはGoogleに引っかかる可能性は無い。

これには一度htmlファイルを作り、そこからFLASHを読み込み、<title>や表示されない部分に引っかかりやすいテキストを入れなければならない。

と、このくらいであれば何とかなるのだが、ウェブ構成が高度化、複雑化し、これも流行りの「リッチ」なコンテンツが多く利用されるようになると、これらにいちいちSEO対策するというのも膨大な手間ともなる。直接読まれるファイルはScriptの記述だけであり、他のテキストを含むファイルは外部ファイルから取り込む、などという構成もありうる。

SEOがダイナミックでコンセプチャルなサイトデザイン開発の妨げになる可能性もあるのではないか。明後日に続く。
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