2007年5月
ウェブサイトの役割は、アクセスを増やすことでもなければGoogleで上位に表示されることでもない。そのサイトを通じて、いかに利益を出すか、いかに満足を与えるかということだろう。そのためにはウェブサイト単独ではなく、そのサイトを運営する企業や事業所、組織や団体の中で、どのような役割を果たすかということを考えなければいけない。経営方針を広告戦略を踏まえた上での対応と展開が必要なのだ。
そこを押さえておかないと、ウェブサイトの存在自体が不要な時間と手間と不安を生み出すものになってしまうこともある。
既存の顧客に対して有用な情報を与えることができれば、その存在をあまり公にしたくない!というサイトも少なくはない。公にしたがゆえに、同業者から嫌がらせを受けたり、所属する組合からクレームがついたり、全く面識もない人間から辛辣な内容のメールが来たりもするものだ。以前はメール受付をサイトに載せないことで、これらは避けられたのだが、最近では悪口を他のサイトやブログに書かれてしまうケースもある。かといって認証を設ければ、既存の顧客のアクセスも激減してしまう。
というようなわけで、検索サイトには載らない、ひっそりと限られた人のためだけのサイトというのも多く存在する。
SEOを利用した詐欺まがいのウェブ制作業者も横行した。その内容は色々とあるのだが、中には名刺に「Yahoo! Japan登録業者」なんて刷ってあったりもした。それでも信用する人間もいたのだから困ったもんだ。NTT認定業者というようなところから、さんざん強引な勧誘を受け、文句を言っていたのはついこのあいだのことなのに。。全くもってブランドに弱い人達でもある。
GoogleやYahoo! でトップに立つ!ということがステイタスにもなったわけだが、果たしてトップが幸せかというと、そうでもない。不要な招かねざる問合せの量が増えるわりに、実際に利益となるようなアプローチは少ない。またトップを維持するための絶えまぬ努力が必要となり、他のサイトからのやっかみやイヤがらせにも対処しなければならないのだ。
サイトやビジネスに規模に合わせた適度な順位のほうが幸せであることが多い。1ページ目に出なければ意味が無い、なんていうのはBBが普及する以前の話であり、Googleの戦術でもある。本当に捜している人は、10ページ目まで真剣に見るのだ。
2004年ごろからはウェブサイト=SEO必須、というような状況になってきた。ろくにパソコンも操作できない中小企業の事業主でもSEOという言葉だけは知っていて、ホームページにはSEOが必要、というようなことを自然と刷り込まれていった。ウェブデザイナにとってもいささかやりづらい時代でもあった。ドラフトで作ったトップページのJPGデータを見せたところが「SEO対策ができてない」と言われたり、サイトのコンテンツは二の次で、とにかく「Yahooで上のほうに出るようにして欲しい!」という短絡的な要望が増えたりもしたものだ。
1998年に登場したGoogleは、最初からこのイタチごっこを利用した戦略を行ってきた。「こうやると有利ですよ」的な情報を自ら流し、それがそこそこを功を奏す。ところがそれは恒久的なものではなく、SEOテクニックだけでは上位は維持できない仕組みにもなっている。情報を流した時点で次の方策を準備しているのだ。
イタチごっこで一旦は捕まってまた逃げ出す。そしてまたわざと捕まるようにスピードを緩め、わざと尻尾をつかませまた逃げる。そんな作戦だ。これには多くの人がまんまとはまって、もはやサイト制作にはSEOは不可欠みたいな風潮にもなったのだ。
1997〜99年頃、SEOテクニックと検索サイトの間では常にイタチごっこが繰り返されていた。そしてこのイタチごっこに息切れした検索サイトは姿を消していき、生き残った検索サイトはイタチごっこで常に優位に立ち、最終的にはどんなSEOテクニックも屈しない完璧なコンテンツ重視型の検索結果表示を確立することを目指した。
つまりSEOテク側が勝利した時点でその検索サイトは消滅し、消滅しない検索サイトはSEOテクニック側に負けることはないということになる。ようするにSEOテクニック側に勝利という可能性は元々無いのだ。
1997〜99年頃、そのころ主流だったロボット検索型サーチエンジンでは、ちょっとした細工で検索結果の上位に来ることができた。例えばソースの中にAV女優の名前を100人書いておくとか、芸能人の名前を適当に列記しておくとか。当時はSEOなどという言葉は無かったので、そういった行為を人は「インチキ」と呼んでいた。
それが2004年頃になって、このインチキはSEOという名前になり、多くの人が信仰するようになった。真面目な顔して「それはSEO対策としては問題がある」などと言っているのだ。おかしな時代になったものだと思ったものである。
PV(ページビュー)の数値だけを見れば膨大な数であるのだが、その平均滞在時間を見ると限りなくゼロに近いなんていうページも少なくない。特に階層の深いページはPV自体が少なく、滞在時間はさらに少なかったりもする。
1日1000PVぐらいのサイトでも、例えば「プライバシーポリシー」のページの平均滞在時間は1年間で平均0秒だったりもする。つまり「書いてある」ことを確認するだけのものなのだ。苦労して文面を書く必要もなければ誤字を見つけたからといって更新する必要も無いということにもなる。
この傾向はアクセス数が増えれば増えるほど顕著にもなってくるようだ。人通りの多い道に面した店ほど、冷やかしや「見るだけ」の率があがるのと同じようなものだろう。1日1000アクセス!なんて言ったところで、ちゃんと見てくれているのは1〜2割であろう、一般的には。
実店舗であれば、人通りの少ない僻地の店で一旦店に入り他に誰も客がおらず店員が愛想良く話しかけてくると、ついつい買っていまったりもするが、ウェブの場合はどんなに愛想よくしていても客は冷徹にも一瞬で過ぎ去って行くものでもある。
アクセスログの中に滞在時間という項目がある。これを見ると、いかに多くの閲覧者が一瞬覗いただけで通り過ぎて行くだけであるのかがよく分かる。もっとじっくり見ていって欲しいものでもあるが、自分が他のサイトを見る時も、たぶん一瞬見ただけで次々とページを移動していることだろうから仕方がない。
同時に、いかに人は文字を読まないかということも分かる。画像中心のページであれば、例え一瞬でもその画像を見ていてくれることになるのだが、0秒で去って行く閲覧者は絶対に文章は読んでいないはずだ。こういった一瞬で去って行く閲覧者が大半を占めるというサイトは少なくないだろう。
従って、これからリンク集のページを作る場合には、まずはリンク集ページそのものの目的を 明確にしておく必要があるだろう。例えば「あ、こんなところともコラボしてるんだ」と思わせ、そのサイトの守備範囲の広さをPRするというのも一つの考え方だろう。また、クライアントや取引先に対しての忠誠心を表現するページとして考えてもいいだろう。
いずれにしてもリンク先の数が増え過ぎると、見るほうも面倒になるし、管理するほうも定期的なリンク切れのチェックなどで手間ばかりかかるものになるので気を付けよう。
なぜリンク集のページがあるかと言うと、まあ、リンク集のページはウェブサイトの定番であり、制作側にしてみればそこに1ページ追加することで、その分、単価も上がられる。ついでに「なるべくリンクを増やして相互リンクとかもすればアクセスも上がりますよ」なんて言ったりもしたものだ。
ただしそれはもう過去の話で、ユーザー側が必要なサイトは自力で捜せるようになってくると、運営側の自己満足と取引先に対する挨拶、それと自分達が頻繁に訪れるサイトの「お気に入り」の代わりみたいなものになってきている。
しかしここまで詳細で行き届いたフォームがタダで使えるというのは魅力的であることも確か。だがここまでカスタマイズできるということは、それだけ納得するまで設定に修正を加えることもできるということであり、そのためにそれ相応の時間もかかる。不要なファイルからトラッキングコードを外したり、タイトルを分かりやすいように書き換えたり、FLASHに専用のトラッキングコードを追加したり。。という作業が発生するのだ。
それがサイトの運営に活かせるものであればいいのだが、多くはいじくることの楽しみだけで終わっていまうようでもある。
Google analyticsは言ってみればお試し版のようなものであり、その機能も完璧というものではない。Google analyticsを使ってみて、興味を持ったユーザーの一部がアドワーズ広告を利用し、不満足な部分を感じたユーザーの数パーセントがUrchinの契約をさせるための戦略である。でなければタダなわけがない。
今や多くのレンタルサーバーではログ解析のサービスが付帯している。にもかかわらずGoogle analyticsを使いたがるユーザーも多いようだ。そもそもhtmlにスクリプトを埋め込んで1ファイルずつが自己申告するという極めて効率の悪い方法よりも、サーバから吐き出されるリストを参照したほうがはるかに早いはずだ。
ウェブサイトの告知には色々な方法があり、バズ・マーケティングの展開もそのうちの一つである。これはターゲットとする利用者が地域的に比較的狭い範囲に限定され、その提供する商品やサービスにSNSやブログで取り上げられるだけの話題性がある場合に効果を発揮するだろう。飲食店などのサイトには効果的な場合も多い。無数に存在する同業者の中からサーチエンジンで上位に表示されること使う労力を、バズ・マーケティングに使ったほうが有利でもある。
しかしこのサイトのトップページには「商品のご注文はこちら」というゴージャスなボタンもある。行き先は 「プライバシーポリシー」のページ文中の「注文ページ」と同じなのだ。しかし一旦覚えた道は、確実に目的地に到達することが分かっているので、簡単には変えないものだ。
同時にサイト内でのショートカット(水平方向のリンク)は、その部分だけを見れば便利なようだが、サイト全体のナビゲーションを分かりにくくさせる要因でもある。だから大したページ数も無いのにサイトマップなどという余計なものが必要となるのだ。
トップページの下のほうに小さく「プライバシーポリシー」のページへのリンクがあるとする。この「プライバシーポリシー」のページへジャンプしその内容を読む。すると文章のに「注文ページ」というテキストが実際に商品を注文するページへのリンクになっている。そこでその「注文ページ」にジャンプし、商品を注文してしまった。
するとこの人は、次にこのサイトを訪れた時にも、一旦「プライバシーポリシー」のページへ行き、文中の「注文ページ」への文字を捜し、そこから注文ページに行くようになる。
なるべく安くていいものを作って欲しい。何かをオーダーするときに、ほとんどの人はそう思っている。しかし美味しい料理には新鮮な食材と腕のいい料理人が必要。スーツであれば質の良い生地と腕の良い仕立てが必要。良いものを求めれば、それなりに価格は高くなるのだ。
ところがデザインというものは、デザイナの魔法によって安くても良いものが簡単に出来ると勘違いされていることが多い。じっくり時間を かけて、色々な素材を集めて検討し、何度もレビューしながら完成度を上げていけば、それなりに良いものは出来る。しかし限られた時間とコストの中では、それなりのものしかできないのだ。
ネットカフェで寝起き、ファーストフードで食事、スーパー銭湯で入浴、でもって学校や会社に通う。 独り身にとっては、これで充分コト足りる世の中になってきたようだ。家とか住所とか本籍という概念が 必要なくなってくるのだろうか。
MicrosoftがYahoo! の買収をするとかしないとか。その原因の一つがこのGoogle Docs & Spreadsheetsであるらしい。要するにGoogle Docs & Spreadsheetsを活用すればWordもExcelも不要になるということ。特にWordやExcelでファイル作成はしないものの、添付されてきたファイルを開いたり、若干の修正のためだけに、仕方なくOfficeを使っている人にとっては、もはやOfficeは不要となろう。 ただし作成したファイルはサーバ上にアップするため、やはりセキュリティーの不安はあるかもしれないが。
FLASHではjpgもgifもまとめてビットマップと呼んでいるのはなぜか?これは FLASHのツールで描画するベクターデータと区別するためにこう呼んで いるのではないかと思われる。
また、FLASHはブラウザではないので、jpgもgifも同じようにビットマップとして 読込んでいるのではないかとも思われる。
jpgもパソコンの画面に表示される最後の段階では、結局ビットマップに なっているわけで、jpgとgifの相違はあまり気にしなくて良くなってきているようだ。
結論として、 透過gifやgifムービー以外であれば、gifを使う意味はほとんどないと言ってもいいようだ。
しかしBB普及後は、そのような小さな画像を軽くしたところで、 ウェブ画面全体としても読込み速度には全く影響がなくなった。 であればフランス国旗でもjpgの低圧縮で作っても何も問題は起こらない。
ついでにgifの一部の特許を持っていた米国UNISYSがそれまでフリーとしていたgif の特許の特許料を徴収するという事態が発生し、猛烈な反発を受けたわけだが、 これを期にgifはその使用が敬遠されるようにもなった。
では、なぜ透過とムービー以外でもgifが使われているか? というと、これははっきり言って昔のなごりではないか。
gifでも、例えば8色、4色となればjpgよりも軽くなるわけで、 BBが普及する前には、とにかく画像データはできるだけ軽くする 必要があり、例えばフランスの国旗はgifの4色にしていたわけだ。 同時にサーバのディスク容量にも限りがあり、制作者のHDにも限界が あり、とにかくウェブデータ全体を軽量化することも常に考えて おかないといけなかった。
また、当時(2000年以前)は、モニター解像度を上げると 256色まで表示できないパソコンも多く、256色以上の表示が 必要なかったということもあったわけだ。
これに対してjpgは、8x8画素のブロックに分割して、これをいくつかの工程を 通して符号化、量子化して軽量化するというもの。 このへんの具体的な技術の内容は専門的すぎて簡単に説明できるものではないので割愛するが、 とにかく視覚的に同じ画像であれば、ビットマップに対してjpgのほうが基本的に 軽くなるわけだ。
ではなぜgifが使われているかと言うと、まずは透過gif、それとgifムービー。 これらは基本がビットマップ方式でなければできないということになる。
ウェブの画像データにはjpg又はgifが使われているが、この使い分けは何のため? という質問を受けることがあるので、かいつまんで説明する。
まずはgifの欠点から説明すると、色数が256色までなので、繊細な色表現ができないということがあるだろう。 それとサイズの割にデータが重いということ。 言ってみればgifというのは上限256色と決められたビットマップのことで、 ビットマップ方式なので、例えば100x100pixの画像データを表示するためには 1万ドットのタイルを左上から順番に読んでいくということになるわけだ。
日本語には色々な敬語があり、これらが人によって色々な使われ方をする。特にメールでの敬語は様々な使い方がされる。それ故に、普通の文章が相対的に「命令」と捉えられる場合もある。
「修正していただく様お願いいたします」「修正していただければ幸いです」「修正していただけると助かるのですが」などという言い回しが敬語(へりくだりかもしれないが)だとすれば、「修正して下さい」という普通の言い方が命令のように聞こえてくる。断定的に依頼しているという意味では、前者のような言い回しよりも、後者のほうが明確且つシンプルで分かりたすいはずなのだが。
学校の下駄箱に自分の靴をいつもの場所に入れる。これを誰かがイタズラして隣に移してしまったとする。そうなると、これが思いのほか見つからなかったりもする。移されたほうは、まずは自分の定位置に無い!となると、どこかに捨てられたのか、誰かが間違いて履いていってしまったのか、盗まれてしまったか、などと色々な状況を想像してしまうのだ。イタズラしたほうにしてみれば、隣なんだからすぐに気付くだろう、と思ったのでもあるが。
見慣れたウェブページ上でのボタンやコンテンツでも同じことが言える。近くにあるから分かるだろう、と思ってちょっと位置を移動したり、入れ替えたりするだけでも、見るほうは意外と混乱するものである。
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